牛山佳幸「中世日本の仏教界と温泉-西大寺流律宗の場合-」『佛教史學研究』第62巻第2号(佛教史學會、2020)
牛山先生(信州大学名誉教授)からお手紙とご高論を頂戴しました(2020となっているけれど2021にリリースされたそう)。つい先日リリースされたばかりの拙論を読んでくださって、中世の有馬温泉を管理していたグループについての誤解を指摘して下さいました。誠にありがたい。
牛山先生は、西大寺流律宗が鎌倉時代後期以降に有馬温泉に進出しその後も室町時代に至るまで温泉経営にかかわっていたことを諸史料から明らかにされています。でも、今まで忙しくて温泉と仏教についてのご研究を発表する機会があまりなかったそうで、これからこの分野に精力的に取り組まれるそうです。
という訳で、先日の拙論では有馬温泉は「天台山門系の念仏聖の集団」という西尾先生の説を引用してしまいましたが、訂正する必要がありそうです。今後は牛山先生のご研究に注目したいと思います。中世の律宗の非人救済活動が温泉で行われていて、その姿がらい病患者を看病する行基の姿に反映しているに違いないと、腑に落ちました。
ただ、本書では、相模エリアはともかく、有馬温泉の勧進集団について、どんな人たちかまで触れていないので、こちらはとりあえずそのままで。ご批判ありましたらご指摘ください。
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