62ページの写真「大雄山の森」
山登りをする人にとっては、大雄山最乗寺は箱根明神ヶ岳の登山口・下山口というイメージも強いのではないでしょうか。自分自身も高校生を連れてここから登ったりここへ下ったり、子供を連れてここから登って箱根宮城野に下ったり、と何度もこのコースを利用していました。
ただ一度、万象房のレクリエーションハイキングで、皆様をお連れして箱根仙石原から登って外輪山を縦走して大雄山最乗寺に下ろうとした年末の快晴の日、あまりの展望の良さに絶景の写真を皆さんと撮りすぎたりで下山が遅くなり日没!漆黒の中、山道をあきらめて林道を遠回りして下山した万象房明神ヶ岳・大雄山遭難事件2016を引き起こした張本人でもあります。歩きなれたコースでも舐めてはいけないのです。
樹齢数百年・幹回り数メートル以上の巨木もそびえているこの「大雄山杉林」(県指定天然記念物、約26ヘクタール、約2万本の杉)は南関東では別格の規模を持つ杉を中心とした寺社林です。その広さも本数も別格です。最乗寺一山内の掟とそれを公的に承認してきた公権力。そして、杉苗奉納の古い歴史。まさに圧倒される杉の森です。
「慶安元年 最乗寺開闢ならびに九人老人の機縁」『南足柄市史8 別編 寺社・文化財』(1990)
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掟
一 山中草木、総而猥不可切事、
一 於本木截者、可截頸事、
一 於截枝者、可截手脚事、
一 於截葉者、可截指事、
一 於刈草者、可截鬚髪事、
古人道豈不見麼、莫山中松枝切、枝々葉々祖翁皮肉云云、
未(宝徳三年:1451)
五月日 宗能(最乗寺第五世春屋宗能)判
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「慶安元年八月 最乗寺境内・門前・山林・竹木等免除につき徳川家光朱印状写」『南足柄市史8 別編 寺社・文化財』(1990)
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相模国足柄上郡関本村最乗寺境内・門前・山林・竹木等事、如有来免除、永不可有相違之状如件、
慶安元年(1648)八月十七日
家光御判
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神奈川県で杉を含む寺社林としては他に「大山の原生林」(県指定天然記念物、16.4ヘクタール)、箱根神社などがあります。大山は巨木のスギもありますがモミの原生林が中心で、箱根神社は特に天然記念物指定されているわけではなく「ヒメシャラの純林」(県指定天然記念物)が公式には指定されています。
東京都でも「髙尾山のスギ並木」(都指定天然記念物、十数本の杉)や「御嶽神社参道の杉並木」(青梅市指定天然記念物、数百本の杉)などがあり、樹齢数百年の巨木があります。
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