表紙の写真その10 八菅山伏の切紙
八菅山光勝寺(現在の八菅神社+八菅山)の各院坊にはほぼ例外なく伝来していた切紙(修行テキストを筆写したノート)の一つです。これは文久3年(1863)のものです。
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(十六番)・・・
心中諸願 如意満足
十七番釈迦嶽 心経一巻
ナマクサマンダボダナンバ
福寿増長 授軄利他
十八番阿弥陀嶽 心経一巻
オンアミリタテイセイカラウン
臨終正念 三尊来迎
十九番妙法嶽 心経一巻
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ここには八菅山伏の大山へ向かう峰入り修行(「国峰」)の各行所の勤行の次第が記されています。般若心経と各行所ご本尊への真言は欠かせません。清川村煤ヶ谷から登った大山三峰の山中での勤行の様子が少しわかります。「十九番妙法嶽」が三峰中央峰(935m)です。
因みに、釈迦如来のご真言は、真言宗では「ノウマクサマンダボダナンバク」、八菅山伏は天台宗寺門派系の本山派なのでこのように唱えていたはずです。
この史料は、各院坊ごとに『先達切紙』とか『切紙』とか『峰中三十番念誦私記』とか表題はバラバラですが、中身は同文です。ただ、先輩の山伏から教わりながら筆写する時に写し間違えたんだろうなあと思われる個所が所々に見つかります。例えば、右端の「心中諸願」は「心中所願」としている院坊が多いようです。
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