日本山岳修験学会 第39回学術大会@伯耆大山の発表要旨全文
10月20日(土)~22日(月)の三日間、日本山岳修験学会第39回学術大会が大山開山1300年を機に大山(だいせん、鳥取県大山町)で開催されます。
【主催】日本山岳修験学会・同第39回大山学術大会実行委員会
【後援】大山町教育委員会・三朝町教育委員会・鳥取県教育委員会・公益財団法人とっとりコンベンションビューロー
【協力】大神山神社(奥宮)・角磐山大山寺・一般社団法人大山観光局・米子市教育委員会http://www.sangakushugen.jp/conference.html
つきましては、房主は今年も研究発表を行うため出張いたします。万象房の業務も土曜日EbAkウクレレ教室以外はお休みさせて頂きます。
以下、発表要旨全文。大山つながりで伯耆大山ならぬ相模大山の新出資料がテーマです。
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相模の一山寺院と『風土記稿』地誌調書上
―大山寺と光勝寺― 城川 隆生
―大山寺と光勝寺― 城川 隆生
発表者は、昨年、江戸幕府地誌調所に地誌編纂資料として提出されていた、八菅山と大山の書上を目にする機会を得た。その解読作業の中で、近世を語る際に度々引用される『新編相模国風土記稿』の記述が必ずしも当該宗教者集団の現状と意識を反映していないことに気付いた。そこで、山岳霊場についての様々な言説の発生装置としてこの公的編纂テクストを捉える必要もあるという視点から、今回は、地誌調書上と風土記稿(内閣文庫本)の内容の階層構成の相違に注目し比較分析を試みる。
八菅山光勝寺は、文政九年(1826)に『相州八菅山書上』を提出している。内容は96頁である。項目を大・中・小の階層で考えると、大項目は、山号・寺号・本寺・開闢・開基・鎮守御社七社権現・伽藍草創・本社御霊屋并諸堂以下35項目で一山の全貌を報告している。特に分量が多いのは国峯修行と坊中本尊并所持什物である。対する風土記稿大項目「八菅村」では、八菅山にかかわる中項目は、八菅山・七社権現社・八菅山新田で、七社権現社の下層の小項目に山内の諸堂が列挙され、その一つとして別当光勝寺を上げ本堂と山内の運営組織及び国峰修行を説明している。地誌調所による一山の意図的捉え直しである。
『大山地誌調書上』(天保六年・1835)は大正期の写本が現存し、20の書上からなる大部である。提出者はそれぞれ、大山町、各滝の滝守、各寺院、修験、大山寺、別当八大坊である。大山寺として提出された分は添付資料を含んで96頁。別当八大坊として提出された分が66頁である。大山寺の書上の大項目は、御朱印地所・開闢・中興・本尊・二月廿八日神事・氏子・本堂并諸伽藍地所など、以下は石尊社を含み各建造物毎に報告されている。八大坊の書上は境内御朱印地・碩学領・寺領・御禁制・御條目・開山・中興・開基・惣地坪・大日堂、以下はやはり各種建造物と配下の院坊毎である。対する風土記稿の大項目は、まず大山寺ではなく「大山」。そして中項目では、不動堂の項で不動堂境内が大山寺とされ、石尊社も中項目で山頂エリアと二重堂を説明し、なぜか前不動堂以下、楼門・二王門・別当八大坊が中項目という矛盾をはらむ構成である。一山組織がテクスト上解体されているのはここでも明らかである。
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