彼岸の中日
日本民俗学のパイオニア柳田國男『先祖の話』(1946)を、今日はお彼岸なのでちょっと読み返してみました。「・・・・・現在のところでは仏教と独立して、これを先祖の還って来る日としているのは、私の知る限りでは秋田県北部の農村くらいなもので、かの地方では春の彼岸の日に、盆とよく似た迎え送りの日を焚いているが、もとは日本の今一段と広い区域にわたって、この日を重要な節日としていたらしい痕跡はある。この春分秋分の日と確定したことは、あるいは後の知識であったとしても、おおよそこの頃をもって先祖祭の季節としたことだけは古いのかもしれない・・・・・」。お正月とお盆が先祖祭であったことはずいぶんと説明されておりますが、ネーミングが「彼岸(ひがん)」と「此世(しがん)」で三途の川の向こう岸「あの世」をイメージしてお墓参りするのかと思っていたこの行事、実は近代以降に創造された新しい伝統の可能性が高いなと気付きました。柳田先生が「かもしれない」では。
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